ねぇ先輩、名前をよんで。



彼にはいつも背中を押されてばかりだ。

本当にダメだなぁ……。


下駄箱で靴を履きかえると、

校舎から校門に続いて列が出来ている。


その列の間に入っていくけれど。


「人がいっぱいいるね」

「ああ、見えるか?これ」


ギャラリーが多すぎて、

通ってくる人があんまり見えない状態だった。


先輩はまだ居るんだろうか。


もう帰っちゃってたりして……。


まあ、でも先輩がいたとしても


自分から声をかけるつもりは無かったからいいか。


がやがやしている中。


「わっ……!」


人にトンっと押されて前にでて来てしまった。


「痛たた……」


顔をあげると、すぐ目の前に春先輩が立っている。


「春先、輩……」

「ちょっといいかな?」


卒業証書が入った筒を持っている先輩。


ビックリして私は目を大きく瞬きさせる。


「話がしたいんだ」


< 232 / 250 >

この作品をシェア

pagetop