ねぇ先輩、名前をよんで。
だからもう、迷わない。
今日は……
自分の気持ちに正直になるよ。
「こっちで話そうか」
私は頷くと、
先輩が歩く後ろをついていくことにした。
何も話さず、ただ先輩についていく。
小さく見えていた先輩の背中が
思ったよりも大きくて、広い。
「ここ……」
こうして彼がやって来たのは、屋上だった。
屋上のドアを開ければ、青空が広がる。
先輩に別れを告げた日から
一度も行ってない屋上。
景色はあの時のまま、
全く変わっていなかった。
先輩への気持ちがたくさん詰まった場所。
心地良い風が吹き抜ける中。
先輩はフェンスに手をついて言った。
「久しぶりだね。
こうしてふたりで話すのは」
「そうですね……」
毎日のように、この場所で話していた。