ねぇ先輩、名前をよんで。
先輩が私の名前を呼ばなければ
きっと、あの時のあの時間は存在しなかった。
苦しい時間だって、
悲しい時間だってあった。
でもね。
楽しかった時間があったのも事実だから。
あの時間が無かったら、
私は先輩に会いたくて
屋上までの階段を
ワクワクしながら登ることもなかったんだから。
これはお互いの罪だ。
罪を共有する時間。
全てが嘘で、
全てが悪いものじゃない。
「きっとキミがいなかったら
俺は、変わることも出来なかったと思う」
「春、先輩……」
支えたいと思って、
彼の側にいることを決意した。
だけど彼は変わらず優さんを思っていて、
何も変えられていないんだと思ってた。
それでも……
そうじゃなかったんだね。