ねぇ先輩、名前をよんで。
「清水くん」
声をかけると、物憂さ気に顔をあげた。
「何しに来たんだよ?」
「つ、伝えたいことがあって……」
彼の声はいつもよりワントーン低い。
そんな気がする。
いつもと違う、大人びた声。
ドキドキと心臓が鳴ると同時に不安になった。
すると、彼は小さくつぶやいた。
「聞きたくはねぇな……」
ズキンと胸が音を立てる。
ずっと、振り回していたから。
そう言われたって仕方ないんだ。
「ごめん……でもね、
大事なことだから出来たら聞いて欲しい……」
完全に勢いをなくしてしまった私。
それでも伝えなきゃって必死になって言う。
その間もドキドキと鳴る心臓は
うるさく音を立てていた。
いつからだろう。
彼の前でこんなにうるさく心臓が鳴りだしたのは。