ねぇ先輩、名前をよんで。



「清水くん……」


そしてゆっくり立ち上がると、彼は切なげに笑って言った。


「だから俺の負けだ」


”先輩とお幸せに”



そんな言葉を残して、私に背中を向けてしまう。


清水くんが行っちゃう。

追いかけなきゃ。


ずっと、彼は待っていてくれた。

私から先輩を引き剥がすことなく


側にいてくれた。


「……ちが、うよ。清水くん」


彼が手を引くというのなら


今度は私が追いかける。


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