ねぇ先輩、名前をよんで。




『桜ヶ丘高校に進路を変更したいんですけど……』

『桜が丘?どうした橋本。

お前なら白泉高校も十分狙える実力だぞ』


『いえ、桜が丘に行きたいんです』


私の急な進路変更に両親も先生も戸惑った。


『どうしてなの?

あんなに白泉に行きたいって行ってたじゃない』

『不安になったのか?

模試もS判定だっただろう?』


『そうだけど、今は桜ヶ丘高校がいいの』


理由は言えなかった。


言えるはずもない。


好きな人を支えたいがために

桜ヶ丘高校に行くなんて。


半ば強引に進路変更をした私は

なんとか両親を納得させて、桜ヶ丘高校に入学することが出来た。


そして入学したその日。


私はすぐに先輩を探した。


はやく、はやく。


そうやって思う気持ちにウキウキはない。



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