ねぇ先輩、名前をよんで。



そしたら先輩は不思議そうな顔をしたっけ。


『変わった子だね、本当に俺なんかと話したいの?』

『話したいです』

『話してもきっとつまらないと思うよ。

楽しい話なんて出来ないし』


『いいんです、

先輩が側にいてくれたらそれで……っ』


おかしいことを言っているのは、分かっていた。


でも私にはどうしても

先輩と過ごす"約束"が必要だった。


『本当に変わった子だな。

いいよ、俺毎日屋上にいるから。

授業が終わってから一緒に話そうか』


もちろん先輩が好きだったことは

今でも秘密だ。


私は先輩に話しかけた時から

絶対にそのことを言わないと心に誓った。


『約束ですよ』


約束だけを作って先輩の側にいる。


先輩が消えてしまわないように――。




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