ねぇ先輩、名前をよんで。




いつ切れたっておかしくない。

ボロボロの糸で繋がっているような関係。


ぎゅっと手を握った、その時。


「今日はもう、来ないかと思った」


建物の陰に隠れていた先輩が

顔を見せた。


「先輩!」


良かった……。


先輩はここで待っていてくれたんだ。


安堵に包まれる。


「先輩……っ」


「どうしたの、ゆうちゃん。

泣きそうな顔してる」


言われて気がついた。

自分が思っていたよりも不安に思っていたこと。


先輩はゆっくりと私の頬に手を伸ばした。


「だって先輩がいるから……」

「俺?いるよ」


くすりと笑った先輩は少し、

寂しげな表情を見せた。


「ゆうちゃんが来ないから

ひとりぼっちで待ってた」


そう言いながら、先輩は地面に腰を下ろした。



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