ねぇ先輩、名前をよんで。



だって同じ悲しみを抱えていたら

救い上げることが出来ない。


一緒につぶれてしまうから。


私はこれで良かったんだと自分の胸を押す。


先輩を救いたい。

ただその一心でこの学校に入って来た。


不純な動機だって思われてもいい。


バカみたいって言われてもいい。


あの時先輩が私を救ってくれたように。


私も先輩のこと救いたいんだ。


だったら私のやることは決まってる。


いつも下ばかり向いていた自分を

前に導いてくれた先輩。


「ねぇ、先輩」



私だって変われたんだ。

先輩のあの一言で。


だからきっと先輩だって、

変わることが出来るはず。


「一瞬の出来事で人が変わるのなら、

無くした色だって

何かのきっかけで取り戻せるんじゃないかな」




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