ねぇ先輩、名前をよんで。



悲しまないで。


下だけを見て生きていくことを今、

決めてしまわないで。


「私は側にいます。

先輩の側に……ずっといる。


だから……顔上をげてください」


消えそうなくらい小さな声だった。

それでも先輩には伝わったらしい。


「本当に?」


彼は私にそう聞いた。


「本当です」


私は離れていったりしない。


先輩は私の言葉にうつむいていた顔をあげた。


泣きそうな顔。

だけど、小さく笑って言った。


「ゆうちゃんが今、

ここに来てくれてよかった」


先輩のその言葉に私の瞳は

じわじわとぼけていく。


鼻の奥がツンとする。


「絶対に来ます!

先輩がいなくても先生に仕事を頼まれても……


絶対にここには来るから……っ」



――だから消えないで。



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