ねぇ先輩、名前をよんで。
私はいつも遠くを見つめる先輩を思い出して
切なく笑った。
今日はなんで学校を休むんだろう。
休むという連絡には了解ですとだけ返した。
理由は聞けなかった。
先輩のこと、
私はまだまだ全然知らない。
先輩に聞きたいことはたくさんある。
それでも私は
それ以上踏み込んではいけない関係だということを知っている。
近づけたなんて言うのは思いこみだ。
本当は一歩も先輩に近づけていない。
すぐそばにいるのに、手を伸ばしても届かない距離。
ふもうすぎて、自分をあざ笑った。
放課後―。
部活に出るという風香ちゃんを送り出し、
教室でぼうっと窓を眺めていた。
先輩がいないと何もすることがなくて退屈だった。