ねぇ先輩、名前をよんで。
「これから気をつけますよ?」
「はあ、どうしてそう自分には無頓着なのかなー」
無頓着?
そんなこと思ったことはないけど……。
「行くよ」
私が考えていると先輩は私の手を取って握った。
――ドキ。
「あっ、ちょっと先輩……!?」
「駅までこのままね、もう強制だから」
「……っ、」
そんなことを言って歩き出してしまう先輩。
ああ、もうズルい。
そんなの、
どんどん好きになるに決まってる。
止めなくちゃいけない。
これ以上好きになっちゃダメだって分かってるのに
ドキドキが止まらない。
心地よく心臓の音が響く。
こんなにドキドキしてるのはきっと私だけだ。
それでもいい。
それでもいいから……。