ねぇ先輩、名前をよんで。
なんて無邪気に笑って
肩まで伸びた髪を揺らす。
それが楽しみで、いつまでも寝坊癖を直さなかった。
『まったくもう!
いつまでも起きて来ないんだったら置いて行っちゃうからね』
『そう言っていつも待っててくれるクセに』
『春のそういうところが嫌い~』
『ごめんって』
優は俺とは違って活発で、
人付き合いも上手だった。
勉強もスポーツも出来きて、
おまけに優しさもあるから多くの人に好かれた。
『春、また何か落ち込んでる?』
それでいて人の変化に気づく、
強い女性だった。
そんな彼女のことを尊敬もしていたし、
愛おしいとも思っていた。
優は俺にとって特別な人だ。
『春さ、高校入る前くらいからモテるようになったよね』