ねぇ先輩、名前をよんで。
「別に、いいよ。もうどうでも」
先輩は小さな声で吐き捨てた。
愛しい人がいなくなった学校はもう、
どうでもいいものに変わっちゃうのかな。
楽しいことも
楽しいと思えなくなってしまうのかな。
先輩は生きる希望まで失ってしまったかのようだった。
彼の横顔を見て、切なく思う。
いつだって私の入る余地は無い。
それでも先輩に元気になって欲しいから、
必死になって、入っていける場所を探すんだ。
私は下を向く先輩に言う。
「ずっと逃げてちゃダメだって
教えてくれたのは先輩じゃないですか」
「え?」
すると先輩はゆっくりと顔を上げた。
「いくらでも逃げてもいい、
でも逃げるのは戦う前にひとやすみをするためだけだって」