ねぇ先輩、名前をよんで。
「なんか不思議だね、俺が励ました子が今ここにいるなんて
運命みたいだ」
運命……か。
本当は全然違うのに。
先輩に会いたくてこの学校に来た。
先輩と話したくてあの日、
屋上に来た。
運命は全部。
私が作り出したこと。
たまたまこうなったわけじゃない。
「懐かしいな……」
先輩はそうやって言葉をこぼすと、遠くを見つめた。
「あの時さ、ゆうちゃんの話を幼馴染にしたんだ。
そしたらね、
その子は素直な子だからきっと克服出来るって言ってた。
それと、私も会ってみたいって言ってたよ」
私も話してみたかったな……。
先輩の好きになった人と。
そして強い言葉をかけてくれた人に。
「それからふたりで待ってたんだけど
ゆうちゃんは来なかったね」