ねぇ先輩、名前をよんで。
「橋本のこと、
どっか冷めてるやつだと思ってた」
「何それ」
この前も思ったけど、
そんなに話したことないのにちょっと失礼な人。
それともクラスで目立たない私だからいいだろうって思ってる?
不審な目をして彼をみていると、
静かに言った。
「好きなのか?あの先輩のこと」
「……っ!」
薄い扉。
ドアはガラス越しになっていて
中の様子を覗くことが出来る。
ドアを開けた時。
きちんとしまっていなかったから、
きっと私と先輩の話し声も聞こえていただろう。
話だけでは分からない。
でも表情を見ていれば、
誰だって私が先輩のことを好きなことは分かるだろう。
「清水くんに言う必要はないから。
てか覗きなんて趣味悪いよ」
「屋上行こうとしたら先約がいたんだよ」