ねぇ先輩、名前をよんで。
私たちのことか……。
「はいはい、すいませんでした」
私はそう言って話を断ち切るように
清水くんの横を通りすぎる。
そのまま帰ろうとしていた時。
ーーパシン。
清水くんは私の手を取った。
「なに?」
真剣な瞳。
加減はしてくれているものの、掴む手は力強い。
「あんな隠し事して苦しくねぇの?」
「……っ!」
隠しごと。
そう、私は先輩にある事を隠している。
清水くんはそのことに気がついたんだ。
「別に……」
「そんなことしても虚しくなるだけだぞ」
核心を突いたように言うその言葉が私は嫌だった。
「うるさい!別にいいでしょ!」
私は彼の腕を振り払うと、
逃げるように走り出した。