ねぇ先輩、名前をよんで。
虚しくなるだけなんて、
そんなの私が一番分かってる。
先輩が私を見るたび、
名前を呼ばれるたび、
どんどん心は苦しくなっていく。
それでもいいって思ったんだ。
嘘をつくことで、
自分を苦しめようが、
隠しごとをして
胸をしめつけるような気持ちになっても。
それでもいいから側にいたいんだ。
不毛な関係だと思う。
自分が幸せになるためには
絶対に側にいてはいけない人。
虚しくなったっていい。
心がちぎれても。
それでも私は先輩の側にいる。
私は何かから逃れるように走り続けた。
走って、走って、
校舎を出たところでようやく立ち止まる。
「……あれ、どうして……っ」
気づけば私の瞳から涙が零れていた。
ぽろぽろと流れ続ける涙を
止めることが出来ずに、
私はそっとうつむいたーー。