ねぇ先輩、名前をよんで。
先輩との約束
翌日。
学校に行き、席につくとすぐに清水くんがやってきた。
「橋本、ちょっと」
手招きして私を呼び寄せる。
私は顔をしかめた。
正直、清水くんは苦手だ。
クラスの誰よりも大人びていて、
時々、人を見透かしたような瞳をする。
私のことなんて放っておいてくれればいいのに。
あの時、あのことに気づいても
知らないフリをしてくれれば良かったのに。
彼はしっかりと口にする。
私は小さくため息をついた。
黙って清水くんについていくと、
人気のない非常階段までやって来た。
「何?」
私が強気で尋ねる。
すると、清水くんは頭をがしがしかきながら言った。
「いや、昨日余計なこと言っちまったかなと思ってさ」
「別に全然気にしてないよ」