ねぇ先輩、名前をよんで。
昨日からそう。
私のこと何も知らないクセに。
知ってるような口調で言わないで。
「言われるの嫌だって分かってる。
けど、今のままだと絶対にお前が傷つくことになる」
「本当は自分でもわかってるんだろ?」
「…………。」
分かってる。
そこに何もないことも、
期待しても何も返ってこないことも
知っている。
でも、分かってるからやめろって?
そんなの出来たらとっくにしてる。
やめられないから、厄介なんだ。
私は清水くんをおいてひとりで教室に戻った。
すると、
風香ちゃんが不思議そうな顔をする。
「珍しい組み合わせだね」
清水くんに呼び出されたところを
彼女は見ていたんだろう。
「仲良かったっけ?」
「ううん、あんまり話したことない」