ねぇ先輩、名前をよんで。
「ゆうちゃん……」
先輩は苦笑いをする。
「ゆうちゃんってけっこう
思ったことバッサリ言うよね」
「す、すみません。
いっつもサボってるから勉強が苦手なのかと思って」
「じゃあ俺のことナメてるゆうちゃんに、
実力を教えてあげよう」
先輩はそう言うと
図書室の席に座って、勉強を教えてくれた。
「ここを代入して……」
「なるほど」
先輩の教え方は正直、
ビックリするほど分かりやすかった。
先輩ってこんなに勉強出来るんだ。
「春先輩すごい……」
「勉強は出来ないわけじゃないんだよ。
実際優の勉強も見てあげてたし」
そっか……。
だから教えるのも上手いんだね。
シーンと静かな図書室で
私はゆっくり口を開く。
「そんなに勉強が出来るのに、
サボってばっかりじゃもったいないと思います」