ねぇ先輩、名前をよんで。
私の言葉に先輩は切なく笑って言った。
「だってさ、
なんのために勉強すればいいのか分からない」
何のため。
今の先輩には目的が無いんだ。
何か目的があったら、
授業にも出てくれるのかな……。
「じゃあ先輩、
私のために勉強してくれませんか?」
「私のため……?」
「私、実は学年トップでこの学校に入ってるんです。
だから成績落とせなくって……
それで、テストの点数を競いませんか?」
先輩にメリットはほとんどなかった。
でも
先輩が前を向くきっかけを作りたかった。
ちょっと無理矢理だったかな。
「勝った方が1個お願いを
なんでも聞くっていう条件で……」
アゴに手をあてて考え込む先輩を
必死で説得する。
「たぶん先輩の方が勝つと思うんです。
先輩が本気出したら私なんてイチコロで終わります!
だから……やっておいた方がおトクです!」