ねぇ先輩、名前をよんで。





私の言葉に先輩は切なく笑って言った。


「だってさ、

なんのために勉強すればいいのか分からない」


何のため。

今の先輩には目的が無いんだ。


何か目的があったら、

授業にも出てくれるのかな……。


「じゃあ先輩、

私のために勉強してくれませんか?」

「私のため……?」


「私、実は学年トップでこの学校に入ってるんです。

だから成績落とせなくって……

それで、テストの点数を競いませんか?」


先輩にメリットはほとんどなかった。


でも

先輩が前を向くきっかけを作りたかった。


ちょっと無理矢理だったかな。


「勝った方が1個お願いを

なんでも聞くっていう条件で……」


アゴに手をあてて考え込む先輩を

必死で説得する。


「たぶん先輩の方が勝つと思うんです。

先輩が本気出したら私なんてイチコロで終わります!

だから……やっておいた方がおトクです!」


< 88 / 250 >

この作品をシェア

pagetop