ねぇ先輩、名前をよんで。
「……きゃっ!」
上に積み上がっていた本がバラバラと崩れてくる。
その衝撃にぎゅっと目をつぶったけれど、
ドサドサと落ちる音だけが聞こえ
予想していた衝撃は降って来なかった。
「大丈夫?」
ーードキン。
「は、はい……っ」
ぱちりと目を開ければ、
すぐ目の前に先輩の顔がある。
春先輩はとっさに私を庇ってくれたようだった。
「ごめんね、本棚が傷んでたみたい」
「いえ、私は全然……
それより先輩こそ、大丈夫ですか?」
彼に手を伸ばそうとして、はっと我に返る。
半分私を押し倒すような姿勢に、
至近距離にある先輩の顔。
「す、すみません」
手を引っ込めると、思わずかあっと顔が赤くなった。
「け、怪我してないですかね」