君の日々に、そっと触れたい。
──前言撤回だ。そうでもないらしかった。
「古城………古城李紅は来てないのか?」
HRが始まり、出欠確認をする先生に、呼ばれた生徒からの返事はない。
───おいおい、嘘だろ。まさか休み………?!
『あ、うん。ありがとな、わざわざ』
あんな爽やかに承諾しといて、来ないとかアリかよ。
アイツが休む事自体は特段珍しいことではない、だけど何故か先生はその次の人の名前を呼ばずに、心配そうに首をかしげていた。
「だれか……古城くんから休みの連絡はありませんでしたか?」
「え、先生知らないんすか」
思わずそう尋ねる。
「ええ、いつもなら親御さんから休みの連絡が学校にあるんですけど…」
先生は 今日はどうしたのか、と心配そうな顔をしている。
「別に普通に寝坊じゃね…?そのうち来るでしょ」
「いやそんな訳には………。先生ちょっとご自宅に電話を掛けてきますね」
なぜだか慌てた様子で職員室に逆戻りしようとする先生。
いや何も、そこまでしなくても。
無断欠席なんて他の奴もよくやるし、先生もいつもならわざわざ家に電話をしたりなんてしないのに。なんでアイツの時だけ。
皆も先生の挙動に違和感を感じたらしく、何やらざわめきはじめた。
「待って、先生。私 李紅くんの携帯の番号知ってるから」
そう声を上げたのは、一人の女子だった。その他にも、LINEを送ってみると言い出した女子が数人。
───へぇ、女子には連絡先とか教えてんだ。………ってか、そこまで大事にしなくても良くねぇか?
先生の放つ深刻そうな雰囲気に呑まれたのか、女子だけでなくクラス全体がざわざわと落ち着きがない。