君の日々に、そっと触れたい。
「…桜…………」
「だから無理に元気に振る舞ったりしないで。李紅が無理して会いに来てくれなくても、私がこうして李紅に会いに来るから」
「………!…うんっ」
李紅は驚いたように目を見開いた後、また嬉しそうにくしゃりと笑った。
──私も、李紅の笑顔が好きだよ。
そんな恥ずかしいこと、今はとても言えないけれど。
きっと伝わる事を願って、その細い手のひらをそっと握った。
握り返されたその確かな温度を、私はたまらなく愛しく思うんだ。
───初めてのことだから、ずっと気付かないでいたのか。それても無意識に気付かないふりをしていたのか。
どちらにせよ、私は知ってしまった。
この感情が、家族や友人に抱くそれとは違うことも。
私は………李紅のことが好きなんだ。