遠距離恋愛はじめます
出会い
1
拝啓、母上様。
あなたは今、最寄り駅で私の帰りを待っている事でしょう。
でも、ごめんなさい。
バカ娘は……あと2時間帰れません!!
《次は〜喜久駅〜喜久駅に止まります。降り口は左〜左側でございます》
くっ!
やっぱり乗り間違えた!!
車掌さんのアナウンスにバカ娘こと佐原茉子<さはら まこ>は思いっきり頭を抱えた。
そして、何故こんなことになったのかと記憶を巻き戻していく。
今日は駅ビルでのバイトがラストまでで、20時台の電車に乗らないと次の電車は22時になってしまう!と急いで閉店の準備をしている所に、まさかのマネージャーから電話。
出たくない。嫌な予感しかしない!と思いつつも、しがないバイトは出なくてはならなくて。
『あ、茉子ちゃん?もう帰る?あのさ〜今月のシフト俺宛にFAXして欲しいのと、今からブライダルの発注送るから明日店長が分かるようにしといて欲しいんだよねー。よろしくー』
送信は良いけど、まさかの受信待ちとか何のイジメですかー!!?
全ての作業が終わったのが20時30分。
電車は45分。
入金はもう1人の遅番だった主婦のお姉さんに任せて上がってもらったから、急いで着替えて改札まで猛ダッシュ!
電光掲示板を確認すれば45分は2番線。
電車きてるーヤバっ!
《間もなく2番線から電車が発車します〜駆け込み乗車はご遠慮下さい〜》
アナウンスと同時に駆け込んでしまったので、車掌さんに心の中で土下座した。
空いてる座席に座り、息を整えていると向かいの窓から同時に出る電車が見え、ふとした疑問が頭を過ぎる。
あれ…あたしいつも2番線だったっけ?
電車が速度を上げ、視界に入ってくる景色を眺めている茉子は走ってきた動悸とは違う動悸を感じ始めていた。
車内にマイクの入る音が響き、鞄を握る手に思わず力が入る。
《ご乗車ありがとうございます〜この電車は〜白鷺行白鷺行でございます〜次は……》
「はぁーーー」
そこまで思い返し、茉子は電車の中だというのに思いっきり溜息を吐いた。
そうだよね。
よくよく考えてみればさ、あたしいっつも5番線だったじゃん。
この時間帯、2番線に乗る事なんて無いじゃん。
時間ばっかり気にして行き先見なかった自分のミスですとも。
ええ、分かってますよ。
でもね?でも……
渡部マネージャー許せんっっ!!!
ブツブツとマネージャーへの暴言を吐いていると電車が減速し始めた。
ここで降りなければ今日中に家へ帰れるか分からなくなる。
《ご利用ありがとうございました〜足元にご注意ください〜》
この駅は確か無人駅だったはずだ。
電車が完全に止まったのを確認すると、茉子は電車代の小銭を車掌に渡すべく急いで降りた。
あなたは今、最寄り駅で私の帰りを待っている事でしょう。
でも、ごめんなさい。
バカ娘は……あと2時間帰れません!!
《次は〜喜久駅〜喜久駅に止まります。降り口は左〜左側でございます》
くっ!
やっぱり乗り間違えた!!
車掌さんのアナウンスにバカ娘こと佐原茉子<さはら まこ>は思いっきり頭を抱えた。
そして、何故こんなことになったのかと記憶を巻き戻していく。
今日は駅ビルでのバイトがラストまでで、20時台の電車に乗らないと次の電車は22時になってしまう!と急いで閉店の準備をしている所に、まさかのマネージャーから電話。
出たくない。嫌な予感しかしない!と思いつつも、しがないバイトは出なくてはならなくて。
『あ、茉子ちゃん?もう帰る?あのさ〜今月のシフト俺宛にFAXして欲しいのと、今からブライダルの発注送るから明日店長が分かるようにしといて欲しいんだよねー。よろしくー』
送信は良いけど、まさかの受信待ちとか何のイジメですかー!!?
全ての作業が終わったのが20時30分。
電車は45分。
入金はもう1人の遅番だった主婦のお姉さんに任せて上がってもらったから、急いで着替えて改札まで猛ダッシュ!
電光掲示板を確認すれば45分は2番線。
電車きてるーヤバっ!
《間もなく2番線から電車が発車します〜駆け込み乗車はご遠慮下さい〜》
アナウンスと同時に駆け込んでしまったので、車掌さんに心の中で土下座した。
空いてる座席に座り、息を整えていると向かいの窓から同時に出る電車が見え、ふとした疑問が頭を過ぎる。
あれ…あたしいつも2番線だったっけ?
電車が速度を上げ、視界に入ってくる景色を眺めている茉子は走ってきた動悸とは違う動悸を感じ始めていた。
車内にマイクの入る音が響き、鞄を握る手に思わず力が入る。
《ご乗車ありがとうございます〜この電車は〜白鷺行白鷺行でございます〜次は……》
「はぁーーー」
そこまで思い返し、茉子は電車の中だというのに思いっきり溜息を吐いた。
そうだよね。
よくよく考えてみればさ、あたしいっつも5番線だったじゃん。
この時間帯、2番線に乗る事なんて無いじゃん。
時間ばっかり気にして行き先見なかった自分のミスですとも。
ええ、分かってますよ。
でもね?でも……
渡部マネージャー許せんっっ!!!
ブツブツとマネージャーへの暴言を吐いていると電車が減速し始めた。
ここで降りなければ今日中に家へ帰れるか分からなくなる。
《ご利用ありがとうございました〜足元にご注意ください〜》
この駅は確か無人駅だったはずだ。
電車が完全に止まったのを確認すると、茉子は電車代の小銭を車掌に渡すべく急いで降りた。