遠距離恋愛はじめます
4
ほぼ強制的に助手席に座らされ、連れてこられたのは郊外にある遊園地だった。
何故ここ?と困惑する茉子の手を引き、創は迷いなく観覧車へと乗り込む。
ゆっくり上昇していく窓からは、平日という事もあり閑散とした園内と、田舎ならではの田園風景。
「NOと言える日本人になりたい…」
「時間あるって言ったじゃん」
「そーですけど、車に連行されるとは思わないじゃないですか!」
「だって車で行こうって言ったら警戒するだろ?」
「うっ…」
悪戯が成功した子供みたいな笑顔を向けられ、茉子は思わず視線を反らした。
ちょっと待って。
なんか、さっきから創さんの笑顔がキラキラしてて直視できないんですけど!
「久々に来たけど変わってなくて安心した」
騒ぎ出した心臓を落ち着かせようとしていた茉子の耳に、創の懐かしそうに呟く声が聞こえた。
「ここ来た事あるんですか?」
「まぁ、バイトしてたことあるし」
「え?」
「ん?」
きょとんと首を傾げる茉子を見て、創も同じように首を傾げると、暫くして「ああそっか」と一人納得した創が何でもないように言った。
「俺ここ地元」
「……えーーーーっ!!!?」
「知ってると思ってた」
「知らないですよ!」
「実家近くの駅で会ってたし」
「仕事だって言ってたし、新幹線乗り場に居たじゃないですか!え、待って。あの辺実家なんですか!?」
立て続けに爆弾を投下してくる創に茉子は頭を抱えたその時、泣きそうな顔をした女の人と、赤ちゃんが脳裏に浮かんだ。
創さんは否定してたけど、やっぱりあの母子とは何かあるよね…。
彼女?ううん、子供いたし奥さんの方がしっくりくるかも。
奥さん…か。このワードなんか嫌だな。
「えーと、ごめんね?」
俯きかげんで考え事をしていた茉子に、創は申し訳なさそうに言ってくるが、その顔は全く反省をしていない。
むしろ笑いをこらえてる表情に茉子がムッとしながら言い返した。
「ごめんなんて思ってない顔してますが。でも、なんで観覧車?好きなんですか?」
「んーあんまり高いとこ好きじゃない」
「は?え?それ、この状況でそれ言います?」
「これってゆっくり時間が流れるじゃん?だから、考え事したい時によく来てたんだ」
「わざわざ都内からですか?」
「まぁここより近場にも観覧車あるけど、やっぱ景色とか空気なのかな。考えがまとまる気がするんだよ」
景色を眺めてる創の顔を夕日が照らすが、その表情が思い詰めてる様に見える。
「あの…なにかあったんですか?」
「ん?」
「お仕事忙しいって言ってたのに地元帰ってきてるし、これ乗っちゃってるし」
「あ~人生上手くいかないなって」
「人生とはまた壮大な悩みを…」
的確なアドバイスは出来なくても、話ぐらいなら聞きますよと言いたかったが、まさかの人生。
これはさすがに何も言えない。と、微妙な顔をしてる茉子に創は笑いかけた。
「でもさ、茉子ちゃんに会えて癒されたし、久々に此処にも来れたし。もう少し頑張るわ」
「癒しですか?あたしが??」
「うん、俺的に癒し系!それに、女子大生と観覧車なんておっさんにはご褒美だし」
「癒し系かどうかは分からないですけど、創さんおっさんじゃないですよ。25,6ぐらいですよね?」
「うわっ!どんだけ若く見てんのさ。俺、もう32だよ」
「32!?うそ!!見えない!」
そう叫んだのと同時に係員により観覧車のドアが開けられ、茉子は非常に気まずい思いをしたのだった。
何故ここ?と困惑する茉子の手を引き、創は迷いなく観覧車へと乗り込む。
ゆっくり上昇していく窓からは、平日という事もあり閑散とした園内と、田舎ならではの田園風景。
「NOと言える日本人になりたい…」
「時間あるって言ったじゃん」
「そーですけど、車に連行されるとは思わないじゃないですか!」
「だって車で行こうって言ったら警戒するだろ?」
「うっ…」
悪戯が成功した子供みたいな笑顔を向けられ、茉子は思わず視線を反らした。
ちょっと待って。
なんか、さっきから創さんの笑顔がキラキラしてて直視できないんですけど!
「久々に来たけど変わってなくて安心した」
騒ぎ出した心臓を落ち着かせようとしていた茉子の耳に、創の懐かしそうに呟く声が聞こえた。
「ここ来た事あるんですか?」
「まぁ、バイトしてたことあるし」
「え?」
「ん?」
きょとんと首を傾げる茉子を見て、創も同じように首を傾げると、暫くして「ああそっか」と一人納得した創が何でもないように言った。
「俺ここ地元」
「……えーーーーっ!!!?」
「知ってると思ってた」
「知らないですよ!」
「実家近くの駅で会ってたし」
「仕事だって言ってたし、新幹線乗り場に居たじゃないですか!え、待って。あの辺実家なんですか!?」
立て続けに爆弾を投下してくる創に茉子は頭を抱えたその時、泣きそうな顔をした女の人と、赤ちゃんが脳裏に浮かんだ。
創さんは否定してたけど、やっぱりあの母子とは何かあるよね…。
彼女?ううん、子供いたし奥さんの方がしっくりくるかも。
奥さん…か。このワードなんか嫌だな。
「えーと、ごめんね?」
俯きかげんで考え事をしていた茉子に、創は申し訳なさそうに言ってくるが、その顔は全く反省をしていない。
むしろ笑いをこらえてる表情に茉子がムッとしながら言い返した。
「ごめんなんて思ってない顔してますが。でも、なんで観覧車?好きなんですか?」
「んーあんまり高いとこ好きじゃない」
「は?え?それ、この状況でそれ言います?」
「これってゆっくり時間が流れるじゃん?だから、考え事したい時によく来てたんだ」
「わざわざ都内からですか?」
「まぁここより近場にも観覧車あるけど、やっぱ景色とか空気なのかな。考えがまとまる気がするんだよ」
景色を眺めてる創の顔を夕日が照らすが、その表情が思い詰めてる様に見える。
「あの…なにかあったんですか?」
「ん?」
「お仕事忙しいって言ってたのに地元帰ってきてるし、これ乗っちゃってるし」
「あ~人生上手くいかないなって」
「人生とはまた壮大な悩みを…」
的確なアドバイスは出来なくても、話ぐらいなら聞きますよと言いたかったが、まさかの人生。
これはさすがに何も言えない。と、微妙な顔をしてる茉子に創は笑いかけた。
「でもさ、茉子ちゃんに会えて癒されたし、久々に此処にも来れたし。もう少し頑張るわ」
「癒しですか?あたしが??」
「うん、俺的に癒し系!それに、女子大生と観覧車なんておっさんにはご褒美だし」
「癒し系かどうかは分からないですけど、創さんおっさんじゃないですよ。25,6ぐらいですよね?」
「うわっ!どんだけ若く見てんのさ。俺、もう32だよ」
「32!?うそ!!見えない!」
そう叫んだのと同時に係員により観覧車のドアが開けられ、茉子は非常に気まずい思いをしたのだった。