遠距離恋愛はじめます
5
付き合わせたお礼に家まで送るという創と、ここから一番近い駅まででという茉子。
「別に茉子ちゃんち特定したからって何もしないよ?」
「それはそうでしょうけど…まだ電車あるので」
なんとか最寄り駅まで送ってもらうことにしたものの創は不満そうだ。
「だって明日も仕事ですよね?早く帰らないと。それに、タロジロちゃんが帰りを待ってますから!」
「ええー?それ言う?ズルいなぁ〜それ言われちゃうと俺もう何も言えないじゃん」
はぁ〜と溜息をつきながらも、ちゃんと駅に向かってくれている事にホッとする。
しばらくして駅のロータリーに入り、停車したのを確認しつつシートベルトを外していると、創が茉子に紙袋を差し出してきた。
「なんですか?」
「これあげる。前回と今日の分のお礼」
「え!?そんな貰えません!」
創の手ごと紙袋を押し返すが、逆に取っ手を掴まされてしまった。
「返却不可だから」
「でも…」
「それ女性用なんだよね。返されても俺使えないから捨てることになるし、貰ってくれると嬉しいな」
ハンドルにもたれながら向けられた笑顔に思わずドキッとしてしまう。
絶っっ対、創さんは笑顔の使い方を熟知してる!!
「開けてみて」
そう言われ、袋の中からリボンのかかった手のひらサイズの箱を取り出すと丁寧に箱を開けていく。
箱の中に入っていたのはピンクゴールドのフックタイプのピアスだった。
一つ手に取り、じっくり見てみると、丁度いい大きさのハートの透かしで形成された丸玉が付いており、中に入ってる石がキラキラと光ってる。
「あ、可愛い」
「7色のカラーストーン使ってて、左右で石の色違うんだ。アミュレットって知ってる?」
「アミュレット?」
「7つの色を身に着けてると幸運をもたらすってやつ。茉子ちゃん今年就活じゃん?だからお守り。ちょっと貸して」
茉子の手からピアスを受け取ると、創はそれをすっと耳元に当ててきた。
創の指が微かに耳朶に触れ、反射でビクッとしてしまう。
失礼だったかな?と伺いみるが、創は気にしてなさそうでホッとした。
「うん、いいね。シルバーよりゴールド系が似合うって思ったんだ。それくらいの大きさなら普段使いできるし」
「ゴールドが似合うなんて言われた事ないですよ」
「いやいや、俺の目に狂いはない」
自信たっぷりにそう言う創に、はにかみながらお礼を言った。
「ありがとうございます」
「どういたしまして」
「あの、そろそろ電車の時間なんで行きますね」
ピアスを落とさないように箱に戻し、車を降りようとドアに手をかけた所で、ぐいっと右手首を捕まれた。
振り返ると、創が少し困ったような顔をしている。
「あのさ…」
「はい?」
言いたい事ははっきり言うタイプだと思っていた創が、何やら言いにくそうに言葉を濁しているのを見て
茉子は首を傾げた。
「うーん、いや、いいや。引き止めてごめん」
「それは大丈夫なんですけど…」
「気を付けて帰って、またメールするから」
「はい。創さんも気を付けてくださいね」
今度こそ車から降りると、ロータリーを抜けて行く車を見送りつつ、創の指が触れた耳朶をそっとつまんだ。
「別に茉子ちゃんち特定したからって何もしないよ?」
「それはそうでしょうけど…まだ電車あるので」
なんとか最寄り駅まで送ってもらうことにしたものの創は不満そうだ。
「だって明日も仕事ですよね?早く帰らないと。それに、タロジロちゃんが帰りを待ってますから!」
「ええー?それ言う?ズルいなぁ〜それ言われちゃうと俺もう何も言えないじゃん」
はぁ〜と溜息をつきながらも、ちゃんと駅に向かってくれている事にホッとする。
しばらくして駅のロータリーに入り、停車したのを確認しつつシートベルトを外していると、創が茉子に紙袋を差し出してきた。
「なんですか?」
「これあげる。前回と今日の分のお礼」
「え!?そんな貰えません!」
創の手ごと紙袋を押し返すが、逆に取っ手を掴まされてしまった。
「返却不可だから」
「でも…」
「それ女性用なんだよね。返されても俺使えないから捨てることになるし、貰ってくれると嬉しいな」
ハンドルにもたれながら向けられた笑顔に思わずドキッとしてしまう。
絶っっ対、創さんは笑顔の使い方を熟知してる!!
「開けてみて」
そう言われ、袋の中からリボンのかかった手のひらサイズの箱を取り出すと丁寧に箱を開けていく。
箱の中に入っていたのはピンクゴールドのフックタイプのピアスだった。
一つ手に取り、じっくり見てみると、丁度いい大きさのハートの透かしで形成された丸玉が付いており、中に入ってる石がキラキラと光ってる。
「あ、可愛い」
「7色のカラーストーン使ってて、左右で石の色違うんだ。アミュレットって知ってる?」
「アミュレット?」
「7つの色を身に着けてると幸運をもたらすってやつ。茉子ちゃん今年就活じゃん?だからお守り。ちょっと貸して」
茉子の手からピアスを受け取ると、創はそれをすっと耳元に当ててきた。
創の指が微かに耳朶に触れ、反射でビクッとしてしまう。
失礼だったかな?と伺いみるが、創は気にしてなさそうでホッとした。
「うん、いいね。シルバーよりゴールド系が似合うって思ったんだ。それくらいの大きさなら普段使いできるし」
「ゴールドが似合うなんて言われた事ないですよ」
「いやいや、俺の目に狂いはない」
自信たっぷりにそう言う創に、はにかみながらお礼を言った。
「ありがとうございます」
「どういたしまして」
「あの、そろそろ電車の時間なんで行きますね」
ピアスを落とさないように箱に戻し、車を降りようとドアに手をかけた所で、ぐいっと右手首を捕まれた。
振り返ると、創が少し困ったような顔をしている。
「あのさ…」
「はい?」
言いたい事ははっきり言うタイプだと思っていた創が、何やら言いにくそうに言葉を濁しているのを見て
茉子は首を傾げた。
「うーん、いや、いいや。引き止めてごめん」
「それは大丈夫なんですけど…」
「気を付けて帰って、またメールするから」
「はい。創さんも気を付けてくださいね」
今度こそ車から降りると、ロータリーを抜けて行く車を見送りつつ、創の指が触れた耳朶をそっとつまんだ。