御曹司と契約結婚~俺様プレジデントの溺愛に逆らえません~
『このシナリオには、あなたの協力が必要なの。ね、奏さん。鷹凪のためになにかをしたいと感じた心はまだ残っているかしら。彼の妻として隣に立つ勇気があるなら力を貸してほしい』

「で……も……」

鷹凪のためになにかをしたいという気持ちは薄れていない。
けれど、今の自分にはなんの技術も度胸もない。美影の言うように役に立てるとは思えない。

今だって、先を見据え次の一手を練っている美影と、ただ泣いていた奏では天と地ほどの差がある。

けれど……

『お願い。私も誠司のためになにかがしたいの。こんなくだらないでっち上げの記事のせいで、彼の夢が潰えるなんて、私には耐えられない』

愛する人の役に立ちたい、そう願う気持ちは奏も美影も同じはずだ。

そして、自分が変わりたいという気持ちも、美影のように強くありたいと願う意思も確かに奏の中にある。

「……わかりました。やらせてください」

「……ありがとう……本当に、ありがとう」

「私の方こそ……どうすべきか教えてくださって、ありがとうございます」

奏はきゅっと胸に手を当てて祈った。
どうか、鷹凪との未来を守る勇気が、自分の胸に宿っていますように……。
< 101 / 147 >

この作品をシェア

pagetop