御曹司と契約結婚~俺様プレジデントの溺愛に逆らえません~
『さ、座って』
奏をソファへ促し、お茶を用意してくれる。
「……だが、悪いがゆっくりしているだけの時間はないんだ」
そう言って奏の隣に腰を下ろした小田桐の手には書類の束が握られていた。
「誠司。あなたはもう少し気遣いを覚えて――」
「私は大丈夫ですから」
美影の優しさはありがたいけれど、奏だってただ甘えさせてもらうために来たわけではない。
今日初めて、鷹凪のために行動する――そんな強い意志を胸に抱いて、家を飛び出してきたわけで。
奏のことをじっと覗き込んで様子を見ていた小田桐だったが、思うところがあったのか、ぽつりと呟いた。
「変わったな」
「え……?」
目をぱちくりとした奏に向けて、小田桐はふっと短く笑う。
「……最初に会った時、なんにもできないお嬢様なんだと思ってた。けど、今はしっかりした目をしてる。今のあなたなら信頼できる」
ティーカップを奏の前にことりと置きながら美影は笑う。
「あら、やっと気づいたの? 私は最初からわかってたわよ。あなたって本当に見る目ないわね」
カラカラと笑う美影。
「……テレビでは辛口議員なんて呼ばれているけど、妻の尻に敷かれてるんだ」
小田桐はそう言って、照れくさそうに頭をかいた。
奏をソファへ促し、お茶を用意してくれる。
「……だが、悪いがゆっくりしているだけの時間はないんだ」
そう言って奏の隣に腰を下ろした小田桐の手には書類の束が握られていた。
「誠司。あなたはもう少し気遣いを覚えて――」
「私は大丈夫ですから」
美影の優しさはありがたいけれど、奏だってただ甘えさせてもらうために来たわけではない。
今日初めて、鷹凪のために行動する――そんな強い意志を胸に抱いて、家を飛び出してきたわけで。
奏のことをじっと覗き込んで様子を見ていた小田桐だったが、思うところがあったのか、ぽつりと呟いた。
「変わったな」
「え……?」
目をぱちくりとした奏に向けて、小田桐はふっと短く笑う。
「……最初に会った時、なんにもできないお嬢様なんだと思ってた。けど、今はしっかりした目をしてる。今のあなたなら信頼できる」
ティーカップを奏の前にことりと置きながら美影は笑う。
「あら、やっと気づいたの? 私は最初からわかってたわよ。あなたって本当に見る目ないわね」
カラカラと笑う美影。
「……テレビでは辛口議員なんて呼ばれているけど、妻の尻に敷かれてるんだ」
小田桐はそう言って、照れくさそうに頭をかいた。