御曹司と契約結婚~俺様プレジデントの溺愛に逆らえません~
「さっき鷹凪にも電話しておいた。奏さんを借りたって報告したらえらい怒ってたから、もしかしたら怒鳴り込みにくるかもしれないけれど――」

パン、と自らの両頬を叩き気を引き締める小田桐。

「鷹凪が文句のひとつも言えないほど、完璧な会見にしてやろうぜ」

そう宣言して、小田桐が控室の外へ踏み出す。

残された奏と美影も、覚悟を決めるかのように頷き合った。

美影に肩を抱かれながら控室を出て長い廊下を歩く。
一歩踏み出すごとに緊張が高まっていき――

「いくぞ」

「はい」

ホールに続く扉を開けると、三人は激しいカメラのフラッシュに包まれた。

小田桐と弁護士が先陣を切って壇上に上がり、数本のマイクとコードがのたうつ横長のテーブルの前に立った。
美影と奏があとに続き、この会見の主役たちが一列に並ぶ。

かくして、勝負の記者会見が幕を開けた。


< 106 / 147 >

この作品をシェア

pagetop