御曹司と契約結婚~俺様プレジデントの溺愛に逆らえません~
「では、密会も、確執も、すべて事実無根だとおっしゃるわけですね」
記者たちの質問に小田桐は落ち着いた態度で、余裕の笑顔さえ浮かべながら答えた。
「ええ。特に妻は奏夫人と日頃から仲良くしていただいております。先日もふたりで美味しいものを食べに行ったとかで……」
「はい。ランチをご一緒させていただいて」
「私と総理が確執だの因縁だの騒がれている間に、夫人同士は仲良くランチですから。まったく女性はたくましい」
小田桐の冗談に、記者たちから軽く笑いが起こる。
そして次の質問をする記者が立ち上がった。
「あの記事にあった写真について、経緯をもう一度、小田桐議員の口からご説明いただけますか」
「総理と私の妻の写真、あれはふたりきりなどではなく、私も同席しておりました。写真の右端に、私の手が写り込んでいるので今一度ご確認ください」
「小田桐議員が奏夫人と密会していたのは」
「あれは、一度目は総理がご在宅でしたし、二度目は私の妻が先に訪問しておりました。十数回密会したなどというのは、事実無根ですし、奏夫人とふたりきりで会ったことなど一度たりともありませんよ」