御曹司と契約結婚～俺様プレジデントの溺愛に逆らえません～

意地悪で答えづらい質問だった。あるいは、慌てふためく奏を期待していたのかもしれない。

慌ててマイクを取ったのは小田桐だ。

「……その質問は、本件とは無関係で――」

「無関係ではないでしょう。今さらになって姿を現した夫人に、誰もが疑心を感じています」

強い口調で責め立てられ、小田桐もぐっと喉を鳴らした。

「夫人について調べさせていただきました。どうやら夫人は仕事においても対人関係が得意ではなく、総理に匿われて生活していたようですが、その点についてはどうお考えですか」

壇上の三人がサッと凍りつく。
奏の情報については鷹凪が厳重に規制をかけていたはずなのに、どうして漏れてしまったのか。

「まさか……」

マイクの通らないところで、小田桐がわずかに囁く。

奏もその意味に気がつきハッとした。

この記事を世に出した鷹凪の抵抗勢力、支持率を落とすためのトラップを仕掛けた張本人――それこそが彼なのではないか。