御曹司と契約結婚~俺様プレジデントの溺愛に逆らえません~
シナリオにない質問に、奏の唇が震える。
なんと答えるのが正解なのだろう。YES? NO?
実際、この記者の推論は事実で、けれどこれを認めれば批判されるのは目に見えている。
とはいえ、どう切り抜ければいいか……
「この質問は――」
小田桐が強引に終わらせようとマイクを取る。けれど――。
「――いえ、答えさせてください」
小田桐の助け舟を奏は断った。
答えないのが一番よくないということは奏にもわかっている。
このあと、ワイドショーで好き勝手言われるのが目に見えていた。
とはいえ、気の利いた回答をする機転など、奏にはない。
「……おっしゃる通りです。私は、人前で喋ることが苦手で……一度会社を退社した経歴があります」
小細工ができないのなら、洗いざらい話してしまうしかない。
奏は覚悟を決めて、自分へと伸びるマイクにそっと手を添えた。
「そんな私を夫は……鷹凪さんは、守るように匿ってくれました。こんな私が彼の妻でいいのか、たくさん悩みました。総理の妻には、相応しくないのではないかと……美影夫人のような、夫を手助けできる妻にはなれそうにないと思いました」
なんと答えるのが正解なのだろう。YES? NO?
実際、この記者の推論は事実で、けれどこれを認めれば批判されるのは目に見えている。
とはいえ、どう切り抜ければいいか……
「この質問は――」
小田桐が強引に終わらせようとマイクを取る。けれど――。
「――いえ、答えさせてください」
小田桐の助け舟を奏は断った。
答えないのが一番よくないということは奏にもわかっている。
このあと、ワイドショーで好き勝手言われるのが目に見えていた。
とはいえ、気の利いた回答をする機転など、奏にはない。
「……おっしゃる通りです。私は、人前で喋ることが苦手で……一度会社を退社した経歴があります」
小細工ができないのなら、洗いざらい話してしまうしかない。
奏は覚悟を決めて、自分へと伸びるマイクにそっと手を添えた。
「そんな私を夫は……鷹凪さんは、守るように匿ってくれました。こんな私が彼の妻でいいのか、たくさん悩みました。総理の妻には、相応しくないのではないかと……美影夫人のような、夫を手助けできる妻にはなれそうにないと思いました」