御曹司と契約結婚~俺様プレジデントの溺愛に逆らえません~
「私だって、鷹凪さんのためになにかしたいんです! 小田桐さんと美影さんみたいに、お互い支え合って、信頼し合える関係になりたいんです」

わっと感情があふれだし、瞳から涙がこぼれ落ちた。拭うことも忘れて、奏は一心に鷹凪を見つめる。

「だって、鷹凪さんは私のことを守ってはくれても、信頼してはくれないじゃないですか! 一方的に守ってもらっているだけで、夫婦なんて呼べるんですか!? 私も変わらなくちゃって、このままじゃいけないと思ったんです! 今が鷹凪さんの危機だっていうなら助けたい。記者会見なんて怖かったけれど、これが妻としての務めならやらなきゃいけないって思ったんです!」

シンと、会場が静まり返った。

先ほどまでうざったいくらいに明滅を繰り返していたフラッシュも、今はやみ、誰もがこの先どうなるのかを固唾を飲んで見守っていた。

沈黙を断ち切るかのように、小田桐がそっと立ち上がる。

「鷹凪。時間だ」

司会者が慌ててこの会見の終了を告げる。
記者たちが一斉に騒ぎ出し、カメラのフラッシュが激しく音を立て、会場は一時騒然となった。

そんな中、小田桐は鷹凪と奏へ退席を促す。

一同は瞬く白光の中、会見場をあとにした。
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