御曹司と契約結婚~俺様プレジデントの溺愛に逆らえません~
エピローグ


「大丈夫か。無理をしなくていいんだぞ」

「大丈夫です。たくさん練習してきましたから」

美影に選んでもらった淑やかなドレスに身を包み、奏は鷹凪とともに迎えの車に乗り込んだ。

今日は来日したドイツの要人をもてなすための晩餐会。鷹凪に同伴し、ファーストレディとして出席する。

奏にとっては、初めての公の場となる。

「……本当に大丈夫か? 嫌なら、出席などしなくても」

「心配しすぎです。そんなに信用できませんか?」

「そういうわけじゃないが」

奏を見つめる鷹凪の視線は、見るからに「信用していません」と言っていて、奏はむくれた。

この一年、小田桐に紹介してもらった専属の講師をつけて、夫人としての振る舞い方やマナーをみっちりと叩き込んでもらったのだ。

先生のスパルタ教育に、ときに涙を流しながらも、奏は必死に頑張ったのである。
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