御曹司と契約結婚~俺様プレジデントの溺愛に逆らえません~
「晩餐会が始まれば、俺は総理として振る舞わなければならない。なにかあっても、お前のそばにいてやれない」

「だからこそ、今日は私の同伴者として先生も招いてくださったのでしょう?」

マナーを叩き込んでくれた先生が奏のそばに付き添ってくれれば、なにかあってもフォローしてくれる、そう考えた鷹凪が特別に招いたのだ。
奏もそれだけでだいぶ気が楽になった。

「本当は俺が守ってやりたいんだが」

「鷹凪さんは鷹凪さんの仕事を頑張ってください。私は私で、なんとかしますから」

鷹凪の足を引っ張っては、本末転倒だ。奏はあくまでも、鷹凪の役に立ちたくてやっているのだから。

「俺のしらない間に、強くなったんだな、奏。本当に……隣にいるのがお前でよかった」

奏の頬が耐え切れず綻ぶ。そう言ってもらうために、これまで頑張ってきたのだ。

「……奏。俺は本当にお前を幸せにできているのだろうか」

「どういうことですか?」

「俺は『政治に巻き込まない』と約束してお前と結婚した。……公約違反だ」

「私自身が望んで破ったんですから。それに……」

ふふふ、と笑って奏はうつむく。自己満足な微笑みに、鷹凪が業を煮やした。
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