御曹司と契約結婚~俺様プレジデントの溺愛に逆らえません~
「なんだ? どうしたんだ?」

「もうひとつの公約は、ちゃんと守ってくださってるなぁと思って」

「もうひとつ?」

奏はかつての鷹凪の言葉を思い出す。

――生涯かけて愛し抜くと誓う――

怪訝な顔をしている鷹凪は、もしかしたらもう忘れてしまったのかもしれないけれど。

「内緒です」

にっこりと微笑んだところで、車が目的地へと辿り着いた。都内にある要人を接宴するための迎賓館だ。

鷹凪は議員に囲まれ会議用の一室へ、奏は用意された控室へと促される。
どうやら鷹凪は、晩餐会の前にひと仕事あるらしい。

「奏……しばらくお別れだが――」

「大丈夫ですよ。お仕事でしょう?」

後ろ髪引かれる鷹凪に、奏は笑顔で手を振り見送る。

「いってらっしゃい、鷹凪さん」

軽く片手を挙げて答える鷹凪。議員とSPたちに囲まれて、鷹凪の姿が廊下の向こうへと消えていく。
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