御曹司と契約結婚~俺様プレジデントの溺愛に逆らえません~
「それともお前は、自分の旦那にも本音を告げず、墓まで持っていくつもりか」

「そんなことは……」

「なら喋れ。奏、お前はそうは思っていないのかもしれないが、お前と俺は対等だ。お前は俺に要求する権利がある。俺のたったひとりの妻なんだから」

ふっと唇に柔らかいものが触れる。久しぶりのキスはとても優しくて、慰められているような気分になった。
ほんの少しだけ寂しさが和らぐ。

「奏。俺がいなくて寂しかったか?」

恐る恐る奏は、こくりと頷く。すると、鷹凪は奏の体を抱き上げ、自分の膝の間に置いた。
うしろからきゅっと抱きすくめられ、奏の心臓がバクバク慌てだす。

「そういうことは、もっと早く言え」

「……言っても、困らせてしまうだけだから」

「それでも、やっとお前が俺を必要としてくれたんだ。嬉しくないわけないだろう」

「え……?」

ポカンとして振り向くと、そのリアクションに鷹凪は眉をひそめた。

「寂しいってことは、俺のことが好きだってことなんだろう?」

「あ……そ、そうかもしれません」

少なくとも嫌いな相手にそばにいてほしいだなんて思わないだろう。
とはいえそれが『愛』なのかは、まだいまいちよくわからない。
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