御曹司と契約結婚~俺様プレジデントの溺愛に逆らえません~
「わかった。穴埋めの仕方は今後の課題にしておいてくれ。だがお前にもひとつ、頼みたいことがある」

驚いて奏は彼を見上げる。結婚しろ、婚姻届けを書け、そう強引に迫られた以来の、久しぶりの要求だったから。

「なんでしょうか?」

「俺にメールを送れ」

「メール? なんのですか?」

きょとんと目を瞬かせる奏に、鷹凪は嘆息する。

「お前、今まで俺に事務連絡以外のメールをしたことがないだろう。それ以外――今日、どんなことがあったとか、今なにをしているとか、どんなにつまらないことでもいいから報告しろ」

奏はポカンと鷹凪を見上げる。奏が今まで彼にメールをしなかったのは、迷惑だろうと思ったからだ。
ただでさえ忙しい上に、自分の話など、興味が湧かないだろうから。

「……どんなことでも、いいんですか」

「ああ。仕事の合間に読むから。返事が返せるかどうかは、保証できないが」

ほんの少しだけ申し訳なさそうに、鷹凪は言う。
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