御曹司と契約結婚~俺様プレジデントの溺愛に逆らえません~
ふたりがともに過ごす時間はとんでもなく短くて、夫婦になった実感は、少なくとも奏の中にはない。鷹凪にだって、あるのかどうか……。

けれど、奏にはひとつわかったことがある。

こうして言葉を交わしていけば、意を決して本音を言えば、少しずつだが人はわかり合えるのだということ。

それが、今に限ったことなのか、これから先ずっと続いていくことなのかはわからないが――

(勇気を出してみよう)

偶然の積み重ねで結ばれることになったこの夫に、今まで出すことのできなかった自分をさらけ出してみる価値はあるのだと奏は信じたかった。
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