御曹司と契約結婚~俺様プレジデントの溺愛に逆らえません~
気がつけばニュースばかりみている鷹凪。やはり仕事柄、情報が必要なのだろう。
けれど、鷹凪の専門分野を同じレベルで語り合えるはずがない。

(私が鷹凪さんに教えてあげられることってなにかしら……)

お昼のニュース番組を見つめながら、メールのネタになるような話はないか目を光らせる。
暗い話はしたくない。明るくて、元気が出て、希望が出るようなニュース――。

ふと中継先のお天気キャスターの背景に、滝のように垂れ下がる薄紫色の花が目に入り、奏はソファから立ち上がった。

『ご覧ください! 現在、花丘記念公園では藤の花の見頃を迎え――』

これだ! と思い奏は携帯端末のカメラを構えた。
キャスター越しの藤の花を撮って、鷹凪にメールを送る。

――藤の花が満開のようです。いつか一緒に見に行きたいです――

まるでデートのお誘いのようになってしまい、奏は頬を赤らめる。

(ううん、私は妻だもの。デートに誘ってなにが悪いの)

忙しい彼がお花見に行く時間などないことはわかっている。
だからちゃんと『いつか』というひと言を添えたし、彼の負担にならないように配慮したつもりだ。
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