御曹司と契約結婚~俺様プレジデントの溺愛に逆らえません~
「吉良先生が強引で、本当に申し訳ありません」
行く道すがら、なぜか運転席の篠田が代わりに謝罪する。
「なにを思い立ったか、突然あなたを連れてこいと言い出して。どうしても見せたいものがあるのだとか……」
「はぁ……」
「もちろん、政治的な活動に巻き込むつもりはありません。あくまでお忍びの訪問ということで……」
篠田はそう言って、奏につばの大きな帽子とサングラス、眼鏡を手渡した。顔を隠せということらしい。
東京から三時間、車は栃木に到着した。篠田は何度か電話で鷹凪とやり取りを交わしたあと、奏を連れて向かった先は想像以上の田舎道。
けれどそこは――
「わぁぁっ!」
奏は車の窓に手をついて、外に広がる光景に思わず声を上げていた。
一面にチューリップ畑が広がっていた。赤、白、黄色、桃色が綺麗なグラデーションを描いて並んでいる。
車はチューリップ畑のど真ん中の農道に止まった。
そこにはすでに一台の車が止まっていて、その脇に鷹凪が立っていた。
篠田から渡された変装グッズを身に着けるのも忘れて、奏は車を飛び降りる。
その瞬間、鷹凪が振り返り、驚くほど優しい笑顔を浮かべた。
行く道すがら、なぜか運転席の篠田が代わりに謝罪する。
「なにを思い立ったか、突然あなたを連れてこいと言い出して。どうしても見せたいものがあるのだとか……」
「はぁ……」
「もちろん、政治的な活動に巻き込むつもりはありません。あくまでお忍びの訪問ということで……」
篠田はそう言って、奏につばの大きな帽子とサングラス、眼鏡を手渡した。顔を隠せということらしい。
東京から三時間、車は栃木に到着した。篠田は何度か電話で鷹凪とやり取りを交わしたあと、奏を連れて向かった先は想像以上の田舎道。
けれどそこは――
「わぁぁっ!」
奏は車の窓に手をついて、外に広がる光景に思わず声を上げていた。
一面にチューリップ畑が広がっていた。赤、白、黄色、桃色が綺麗なグラデーションを描いて並んでいる。
車はチューリップ畑のど真ん中の農道に止まった。
そこにはすでに一台の車が止まっていて、その脇に鷹凪が立っていた。
篠田から渡された変装グッズを身に着けるのも忘れて、奏は車を飛び降りる。
その瞬間、鷹凪が振り返り、驚くほど優しい笑顔を浮かべた。