御曹司と契約結婚~俺様プレジデントの溺愛に逆らえません~
「来てくれてホッとした。俺はそこまで男の魅力に欠けるのかと」

「いつも自信満々の鷹凪さんが、そんなことを思うんですか?」

「思うさ。自信喪失中だ。お前があまりになびかないから」

「……そんなわけ、ないじゃないですか」

縮こまって奏は自分の肩を抱く。
いつだって翻弄されっぱなしだ。鷹凪の行動ひとつひとつが奏の常識を超えていて、常に心をかき乱されている。

「そんなに恥ずかしがらないで、こっちへ来い」

鷹凪の手が奏の腰に伸びてきて、きゅっと強く抱き寄せられた。

タオル越しに彼の素肌を感じ、お湯の熱も合間って顔が真っ赤に染まってしまう。

「た……鷹凪さ……」

鷹凪はどぎまぎとしている奏の腕を持ち上げて、上から下へするすると撫で下ろした。

「細いな。でも、柔らかくて気持ちがいい。まるで……」

奏の肩に口づけながら、そっと囁いた。

「昔飼ってた、猫みたいだ」

「猫……?」

奏はきょとんとする。その間も、鷹凪は愛猫にするみたいに、腕を、お腹を、優しくさすっている。
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