御曹司と契約結婚~俺様プレジデントの溺愛に逆らえません~
「猫……飼ってたんですか?」

「ああ。子どもの頃に。黒猫だ。お前みたいに照れ屋で、触ろうとするとすぐ逃げ出す。でも、ふわふわで癒されるんだ」

「……ふふふ」

奏はなんだか気が抜けてしまった。変に女性扱いされるより、今の奏は猫扱いされた方が気が楽だ。

「じゃあ、今日だけは私が猫になって癒してあげますね」

「ふわふわだな。癒される……」

鷹凪がきゅうっとうしろからしがみついてくる。けれど不思議と悪い気はしない。

猫の気持ちになってしまえば、甘えん坊の飼い主などかわいらしく感じられる。

「あんまり強くすると、苦しいですにゃん」

「……かわいい」

いっそう奏を抱きしめる鷹凪の手に力がこもる。そして――

「……だめだ。理性が利かない。このまま布団に連れていって朝まで愛してやりたい」

「へっ?」

「『にゃん』とか言うお前が悪い」
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