御曹司と契約結婚~俺様プレジデントの溺愛に逆らえません~
篠田は取材陣を見据えて声を低くして警告した。

「今はおとなしく待機していますが、いずれあなたを外へ誘い出すために様々な小細工を仕掛けてくるでしょう。取材ではなく、悪戯目的の悪い輩も混じっているかもしれません。なにかあってからでは取り返しがつきませんよ」

「大丈夫ですよ。なにかあればすぐ連絡しますから。ここから鷹凪さんのいる官邸まで、十分程度でしょう?」

「その十分がどれだけ危険か……くれぐれも注意してくださいね。今やあなたは、日本一の権力を持つ男の弱みでもあるのですから」

脅しのような言葉をかけられて、ぞくりと背筋が寒くなる。「まぁ、少し誇張しすぎかもしれませんが……」篠田はそう訂正して咳払いをした。

「とにかく、なにかあったらすぐに私を呼んでください。先生ではなかなか掴まらないときがあるかもしれませんから」

そう言って篠田は奏に名刺を手渡して、家を出ていった。

これだけ周囲を固められては、外出もできない。買い物も宅配にするしかないだろう。

仕方なく奏はリビングのソファに座り、テレビをつけた。

昼のニュースも相変わらず鷹凪の特集ばかりだ。

奏の前とはちょっぴり違う、熱血で厳しそうな彼がディスプレイに写し出される。
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