御曹司と契約結婚~俺様プレジデントの溺愛に逆らえません~
(大丈夫かな……)
彼らしくない。ひょっとしたら、連日のハードワークで疲れているのかもしれない。
奏は携帯端末を手に取って途方にくれた。
こんなとき、彼の心をホッと和ませるようなメールを打てればいいのだが。あいにく、奏にそんな技術はない。
――桃の季節になりました。今度鷹凪さんが家に帰ってくる日には、桃ゼリーを作りますね――
いつも通りのメールを打つことで精一杯だった。一日一通のノルマは、あれ以来ずっと続けている。
奏のメールに対して鷹凪は遅いながらも必ず返信をくれて、ほんの短い一文ではあるのだが、そのひと言がここ最近の奏のすべてだった。
ほどなくして携帯端末がブルブルと震え始める。
鷹凪からの返信――会議中では? とハッとしてテレビを見ると、すでに中継は終わり別の番組に切り替わっていた。メールで頭を悩ませているうちにいつの間にか終わってしまっていたみたいだ。
その上、振動がいつもよりも長いことでやっと、それがメールではなく着信だということに気づいた。
奏は慌てて携帯端末を握りしめる。彼からの電話は、いつもドキドキする。
彼らしくない。ひょっとしたら、連日のハードワークで疲れているのかもしれない。
奏は携帯端末を手に取って途方にくれた。
こんなとき、彼の心をホッと和ませるようなメールを打てればいいのだが。あいにく、奏にそんな技術はない。
――桃の季節になりました。今度鷹凪さんが家に帰ってくる日には、桃ゼリーを作りますね――
いつも通りのメールを打つことで精一杯だった。一日一通のノルマは、あれ以来ずっと続けている。
奏のメールに対して鷹凪は遅いながらも必ず返信をくれて、ほんの短い一文ではあるのだが、そのひと言がここ最近の奏のすべてだった。
ほどなくして携帯端末がブルブルと震え始める。
鷹凪からの返信――会議中では? とハッとしてテレビを見ると、すでに中継は終わり別の番組に切り替わっていた。メールで頭を悩ませているうちにいつの間にか終わってしまっていたみたいだ。
その上、振動がいつもよりも長いことでやっと、それがメールではなく着信だということに気づいた。
奏は慌てて携帯端末を握りしめる。彼からの電話は、いつもドキドキする。