御曹司と契約結婚~俺様プレジデントの溺愛に逆らえません~


「ただいま、奏」

「おかえりなさい」

就任のドタバタが過ぎ去って、すこしだけ鷹凪の生活に余裕が生まれた。家に帰ってくる頻度が増えて、ふたりの時間が前よりも長くとれるようになった。

「今日はどうだった?」

「はい、とても楽しかったです」

「せっかくだから、泊まってくればよかったのに」

「母が早く帰れと。良き妻は家で主人を迎えるものだって」

「迎えてもらえる方は嬉しいが……せっかくの親孝行だったんだから」

奏の頭をくしゃっと撫でて、鷹凪は自室へ着替えに行く。

今日、奏は久しぶりに母親と外出をした。電車に乗って都内の紅葉スポットへ紅葉狩りに出かけたのだ。

たまには親孝行をと、鷹凪の勧めだった。

「日中忙しかっただろうに、夕食までしっかり用意して……そんなに頑張らなくてもいいんだぞ?」

部屋着に着替えた鷹凪がリビングに戻ってきて、ダイニングテーブルの上の料理に感嘆の声を上げた。

< 82 / 147 >

この作品をシェア

pagetop