御曹司と契約結婚~俺様プレジデントの溺愛に逆らえません~
「私なんかより、鷹凪さんの方がずっと頑張ってるんですから。顔向けできなくなってしまいます」

「奏をこき使うために結婚したんじゃない。たまには手を抜いて出来合いのものを買ってきてもらったって俺はかまわない」

「それは私が風邪を引いたときに使わせていただきます」

「奏が風邪を引いたら……俺は看護休暇を取ろう」

「やめてください。私の風邪のせいで国政が一日止まっちゃったら困ります」

「家からテレビ電話で国会に参加なんてどうだろう。ヤジも飛ばなくていいんじゃないか? 提案してみるか」

「そういうこと言ってるから、生意気だって目をつけられてしまうんですよ」

「確かにな」

鷹凪がクスリと失笑する。

世間からは相変わらずの高支持率だったが、政権内はじわりじわりと波紋が広がりつつあった。

鷹凪を表に立たせ、裏で政権を操っていた大御所議員たちが、鷹凪の発言力が強まるにつれ警戒心を抱き始めたのだ。

鷹凪を引きずり降ろそうとする派閥が、以前にもいるにはいたらしいのだが、どうやら動きを活発化させているらしい。

けれど、不思議なことではないと鷹凪は言う。
いつだってそうやって政権はひっくり返されてきた、これが自然なのだと、覚悟を決めているようだった。
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