御曹司と契約結婚~俺様プレジデントの溺愛に逆らえません~
「もちろん。あなたは本当に鷹凪に甘いのね」

『鷹凪』と呼び捨てたことに奏はドキリとした。
やはり鷹凪とは想像以上に親密な関係のようだ。

一方の小田桐は、動揺のひとつもせず堂々として見えるけれど――

「かわいい弟弟子だからね。君にとっても大切な『弟』なんだろ?」

「……なにその言い方。やだ、もしかしてまた嫉妬しているの? ごめんなさい。この人、私が昔、鷹凪と仲良くしていたって、今でも嫉妬するのよ。みっともないでしょう?」

「まさか。信じているよ、俺のこと、好きで好きでたまらないんだろ?」

「ちゃんとわかってるじゃない。そうやって堂々としていてちょうだい」

どうやら手綱は美影が握っているらしい。普段はあんなにも猛々しい小田桐が、ちょっと情けない顔をして笑った。

「俺はね奏さん、妻の支えのおかげで議員をやれているといっても過言ではないんだ。だから鷹凪にも、そばで支えてやれる誰かが必要だと思っている。それが俺や秘書なんかではなく、君であることを願うよ」

小田桐はそう答えて、美影の手にそっと自分のを添えた。

小田桐が美影を頼りにしているのがよくわかる。

素敵な夫婦だと思った。こういう、頼って、頼られての関係になりたいと、奏は願う。
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